浸透探傷試験 【Penetrant Testing】
液体の狭い隙間があれば重力に逆らってでも入り込んでゆく毛細管現象を利用した非破壊試験。
浸透探傷試験は試験体表面の開口した欠陥を探す代表的な検査方法です。比較的安価で一般的に広く活用される試験方法です。
浸透探傷試験の適用できる材料と試験の種類
適用できる材料
製品(試験体)の表面開口であれば多くの材料に適用できる。
・鋼板、鋳造品、鍛造品、溶接部、ガラス、セラミックスなど多数の製品(試験体)に適用できるが、
多孔質(ポーラス)な材料には適用できない。例えば木材や紙、布のような材料です。
試験方法の種類
浸透探傷試験は余剰浸透液の除去性、観察方法、現像方法の組み合わせで18通りあります。
・余剰浸透液の除去性・・・・「溶剤除去性」・「水洗性」・「後乳化性」
・観察方法・・・・「染色」・「蛍光」
・現像方法・・・・「速乾式現像法」・「湿式現像法」・「乾式現像法」・「無現像法」
・染色浸透探傷試験では乾式現像法と無現像法の組み合わせはないので18通りとなる
試験の手順
ここでは代表的方法の一つである「溶剤除去性染色浸透探傷試験」をモデルに浸透探傷試験の
試験手順を説明します。
試験体の開口部内にある油分や水分、ごみなどを有機溶剤やブラッシングにより除去します
浸透液を刷毛塗やスプレーなどの方法を利用し試験面表面へ適用します。 浸透液適用後は規定された浸透時間(浸透液が開口部内へ浸み込む為の時間)を置きます
試験面の表面に有る余分な浸透液をウェスや紙タオルを使いふき取ります。(粗拭き) 次に有機溶剤である余剰浸透液除去剤を浸み込ませたウェスや紙タオルで開口部の中の浸透液まで ふき取らない様に注意しながら拭きあげます。この工程で浸透探傷試験の試験精度はほとんど決まります。
試験面表面に均一に現像剤を吹き付けます。
現像剤は非常に小さな粒子で、粒子間は開口部より狭ければ毛細管現象で浸透液が開口部より引き上げられる
それにより表面開口部のある場所に浸透液による模様が形成されます。
しっかりとした模様が形成されるまで規定時間(現像保持時間)を取ります。
現像保持時間後、充分明るい環境(500ルクス)以上の明るさか自然光下にて現像液により吸い上げ られ形成された模様(浸透指示模様)を観察し、記録用紙にスケッチや写真、テープなどで転写し 記録を残します。判別できない場合は①の前処理から再度試験を実施します。